役員報酬とは、取締役・監査役に対する報酬です。
株式会社は、役員報酬を決めることにより、今後1年間「役員との委任関係」を結びます。
3月決算法人であれば、5月頃に前期の決算をもとに株主総会を開き、全役員に支払う報酬の総額を決定するとともに、各役員への支給額を決定します。
役員報酬の決定は、株主総会を経なければならないため、このタイミングで行います。
また、取締役会設置会社においては、各役員への支給額の決定については、取締役会に委ねる場合が多いです。
この場合は、取締役会で決議されます。
とはいえ、中小企業実務においては、株主と取締役が同一であるケースが多いため、通常は今後の経営計画をもとに社長が決定していきます。
役員報酬の決定は、その法人だけではなく役員である個人の所得税にも関わります。
主には来期の売上見込などから、増やすか・減らすか等の判断を行いますが、それによって法人の支払う税金が増える・減る、個人の払う税金が増える・減るに関わってきます。
役員報酬を増やす → 会社は経費が増える → 利益が減る → 節税
個人は所得税が増える → 増税
役員報酬を減らす → 会社は経費が減る → 利益が増える → 増税
個人は所得税が減る → 減税
しかし、必要以上の経費を払うことは、会社の資金を減らすことになります。
そのため、役員報酬を増やして法人税を減らすことが単純に良い事だとは言えません。
資金を会社内に貯めておくことによって、『内部留保する=会社の体力をつける』ことにつながり、設備投資や今後銀行等からの借り入れがスムーズに行える場合があります。
役員報酬の増減は簡単に行えますが、変更出来る時期が限られるため、来期を見越して慎重に行う必要があります。
上の項目でも記載しましたが、役員報酬は会社と個人の税に関わります。
当事務所からは、長期的な視点、短期的な視点からトータルでのバランスをアドバイス致します。
また、経理担当の方に株主総会議事録作成のアドバイスも致します。
会社法上、株主総会議事録を作成しなければなりません。
株主総会議事録は本店では株主総会の日から10年間支店では議事録の写しを5年間、備え置かなければならないこととされています。