棚卸とは、過年度に仕入をしたものの、期末時点でまだ売れていない製品や商品がどのくらいあるのかを算出し、把握することを言います。
当期の原価を把握するために実地棚卸を行います。
仕入れた商品や、製品、材料の在庫数量を数える棚卸は実地棚卸といい、その数量にそれぞれの単価を乗じて決算日現在の実地棚卸高を計算します。
棚卸の作業は、仕入の多い顧問先様にとっては事務手数が多く、負担が大きい作業であるかもしれません。
しかし、この棚卸の把握なくしては、適切な原価計算・損益計算はできません。
なぜなら、当期の原価として経費にできる金額(売上原価)は
『 期首の棚卸高 + 当期の仕入高 − 期末の棚卸高 』
であり、期末の棚卸高を把握しなければ、当期の売上に対応する売上原価を算出することができないからです。
また、この計算式からも導き出せるように、
期末の棚卸が多ければ、経費が少なくなり、利益は多く出ます。
期末の棚卸が少なければ、経費が多くなり、利益は少なく出ます。
このように、棚卸の計上額によって利益が増減することから、棚卸の損益計算への影響力は大きいのです。
棚卸は、仕入や売上といったお客様の事業の要部分と密接に関係しており、損益計算への影響力も大きいものです。
当事務所では、仕入や売上、期首棚卸の状況などから、当期棚卸の妥当性を検討したり決算期には、棚卸の内容を確認し、計上漏れ等がないかといった確認をお客様にお願いしています。
また、長期間棚卸に計上されたままになっている不良在庫等がないかも確認し、該当する場合には評価損として適切に処理できるよう、アドバイスを行っています。
棚卸といえば、決算にまとめてするイメージがあるかと思います。
しかし、可能であれば毎月末や隔月末などにこまめに棚卸をして頂くことをお勧めしています。
こまめに棚卸を行うことで、売れ筋商品と在庫に残りがちな商品の把握が月ごとにでき、経営判断の材料として活用できます。
また、実地棚卸と帳簿を併用している場合には、そのズレの解消が比較的容易に行えます。