非上場株式の評価における「特別な利益・損失」の扱いについて
【前提の知識】
自分の会社の株(非上場株式)の価値を計算するとき、似たような業種の上場企業の株価を参考にすることがあります。いわゆる類似業種比準価額方式ですね。
その際、計算式の要素の一つとして「自分の会社の利益」を使います。
ただし、その年にたまたま発生した「一時的な利益(非経常的な利益)」は、
株の本来の価値を正しく測るために、計算から除外することになっています。
Q:会社の利益の中に、プラスの「一時的な利益」と、マイナスの「一時的な損失」が両方ある場合はどうすればいいですか?
A:それぞれをバラバラに見るのではなく、まず「プラス」と「マイナス」を相殺(合算)して、最終的な結果で判断します。
例えば、ある年に以下の2つが同時に起きたとします。
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古いビルを売って損をした(固定資産売却損): マイナス1,000万円
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火災保険金を受け取って利益が出た(保険差益): プラス1,500万円
この場合、「種類が違うから別々に考える」のではなく、まずこれらを合算します。 (+1,500万円) + (-1,000万円) = +500万円
結果として、トータルで「500万円のプラス」が残ります。この「500万円」を「一時的な利益」として、株価計算の基礎となる利益から差し引く(除外する)ことになります。
Q:なぜわざわざ「プラス」と「マイナス」を合わせるのですか?
A:その1年間で、トータルとしてどれだけ「一時的な要因」が利益に影響を与えたかを見るためです。
国税庁のルールでは、「除外すべき一時的な利益」とは、その1年間に発生した一時的な損得の「総体(トータル)」を指すと考えています。
そのため、種類が違う一時的な出来事が複数あっても、それらをすべて通算した後の「純粋な利益分」だけを取り除くのが公平である、という考え方に基づいています。
まとめ
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株価を計算するとき、一時的な損得は計算から除外する。
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「一時的な得」と「一時的な損」の両方があるときは、まずそれらを足し引き(通算)する。
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通算して残った「利益」の部分だけを、計算から除外すればよい。
参考:財産評価基本通達183(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)
180((類似業種比準価額))の評価会社の「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、それぞれ次による。
(1) 「1株当たりの配当金額」は、直前期末以前2年間におけるその会社の剰余金の配当金額(特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。)の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金等の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金等の額を50円で除して計算した数によるものとする。(2)及び(3)において同じ。)で除して計算した金額とする。
(2) 「1株当たりの利益金額」は、直前期末以前1年間における法人税の課税所得金額(固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除く。)に、その所得の計算上益金に算入されなかった剰余金の配当(資本金等の額の減少によるものを除く。)等の金額(所得税額に相当する金額を除く。)及び損金に算入された繰越欠損金の控除額を加算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)を、直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。ただし、納税義務者の選択により、直前期末以前2年間の各事業年度について、それぞれ法人税の課税所得金額を基とし上記に準じて計算した金額の合計額(その合計額が負数のときは、0とする。)の2分の1に相当する金額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とすることができる。
(3) 「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、直前期末における資本金等の額及び法人税法第2条((定義))第18号に規定する利益積立金額に相当する金額(法人税申告書別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」の差引翌期首現在利益積立金額の差引合計額)の合計額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。
(注)1 上記(1)の「剰余金の配当金額」は、各事業年度中に配当金交付の効力が発生した剰余金の配当金額(資本金等の額の減少によるものを除く。)を基として計算することに留意する。
2 利益積立金額に相当する金額が負数である場合には、その負数に相当する金額を資本金等の額から控除するものとし、その控除後の金額が負数となる場合には、その控除後の金額を0とするのであるから留意する。
