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「開業日」と業務開始前の借入金利子について

2024.04.22

「開業日」とは

個人事業主の場合は…

所得税においては事業開始日については明確なルールはありません。開業届は事業開始日から1か月以内(青色申告は2か月以内)に税務署へ提出が必要です。

 

店舗ならオープン日や宣伝活動を開始した日など事業開始のための開業準備行為をした日がではなく、原則、具体的に事業または業務を始める段階に至った日を事業開始日として取り扱われています。

 

一方、消費税においては「事業者が国内において課税資産の譲渡等にかかる事業を開始した日」とされています。「事業者が国内において課税資産の譲渡等を開始した日」となっていないところがポイントです。つまり、消費税法の世界では、開業準備行為をした日が、事業開始日と解されることとなります。

 

 

ではこの「開業日」前に借入金が発生した場合、その借入金の利子はどのような扱いになるのか?

 

原則として、業務を営んでいる方がその業務の用に使用する資産の取得のための借入金の利子は、その業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費になります。ただし、その資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額については、その資産の取得価額に含めることができます。

 

(参考)

No.3264 借入金の利子が取得費になるときhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3264.htm

 

 

とはいえ様々な状況が考えられますので、以下、それぞれのケースで確認していきます。

 

ケース① アパートを借入金によって建築する場合

 

今まで不動産業を営んでいなかった者が、新たに不動産の貸付を開始した場合、準備期間に対応する借入金の利子は必要経費に算入することはできません。

借り入れた日からその固定資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額については、固定資産の取得価額に含めます。

 

 

ケース② 既存アパート所有者が、借入金によってもう1棟アパートを建築する場合

 

原則としては、新しいアパートについてはまだ家賃収入が無いため、所得税法上は必要経費に算入はできません。

とはいえ、既に家賃収入を得ている場合には新旧アパートを区分して所得計算をする必要はないため、新しいアパートの借入金利子も必要経費に算入することができます。

 

 

ケース③ アパートを取り壊しマンションに建て替える場合

・賃借人は前年の内に立ち退き、借入金によってマンションを建設する

・マンションの完成予定は翌年のため本年の収入は0円

・新入居者の募集は不動産会社に委託済み

 

原則は収入が0円のため借入金の利子は、ケース①の新規貸付と同じく必要経費ではなく取得価額に算入します。

しかし、図面等により完成前からその建物が賃貸用物件であると認められ、工事着手しており、入居募集も行っていることなどから、建替え工事中のため収入が0円であっても不動産業務は継続しているとみなされます。

よって、このケース③では、借入金の利子は、必要経費としても、取得価額に算入しても、どちらでも構わないということになります。

※財団法人大蔵財務協会所得税質疑応答集を、参考にさせていただきました。

 

まとめ

このように税法には様々な決まりがあるものの、明確なルールのない部分も混在します。今回の借入金の利子のケースに限らず個々の状況に応じて取り扱いも柔軟に変わるため、事前に確認が必要になります。

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