2023.01.04
青色申告は、「事業開始等の日から2月以内」が届出期限となります。
また、その申請書には、本年1月 16 日以後新たに業務を開始した場合、「その開始した年月日」を記載することになっています。
いつをもって、事業(業務)の開始とみるのか。
つまり、所得税法における「業務を開始した日」とは、どのように考えればいいのでしょうか。
以下の例を使って考えてみたいと思います。
1/15 会社を退職しました。
2/1 趣味でゲームを始めました。
3/1 友人がSNSでゲーム動画を投稿したいからとのことで、依頼されゲームの対戦相手になりました。
4/1 また友人から依頼を受けてゲームの対戦相手になりました。お礼金を1万円もらいました。
5/1 自分自身でもSNSでゲーム動画を投稿しました。
6/1 自分自身で投稿したSNSでのゲーム動画について、広告収入が入金され始めました。
7/1 芸能プロダクションからオファーがありました。
8/1 今まで趣味でゲームをやってきましたが、これからはプロになろうと決意しました。
9/1 芸能プロダクションと正式契約しました。
青色申告は、「事業開始等の日から2月以内」が届出期限となります。
また、その申請書には、本年1月 16 日以後新たに業務を開始した場合、「その開始した年月日」を記載することになっています。
では、このケースでは、いつをもって、事業(業務)の開始とみるのか。
つまり、所得税法における「業務を開始した日」とは、本件ではどのように考えればいいのでしょうか。
非常に微妙な問題で、確定的な答えはわかりませんが、私見を述べてみたいと思います。
※実際の届出にあたっては、顧問税理士さんや税務署のかたとも十分ご相談下さい。
下記の論文でも指摘されています通り、所得税法には、開業日の概念が規定されていません。
『「開業」概念の税法的再検討』 橋本清治先生
まず、今回のように、雇用契約ではなく個人事業として収入を得た場合、その収入は、「業務」という呼び方をしますが、
これがある程度の規模に至った場合、「事業」ということになります。
つまり、「業務」の方が広い概念で、その中に「事業」という概念があることになります。
そして、事業ではない業務であれば、雑所得なので、そもそも青色申告できません。
事業であれば、事業所得として、申告することができる。つまり、青色申告の承認を受けたうえでですが、青色申告をすることができるわけです。
さて、今回のケース、途中の段階での収入の多寡などにもよるかと思われますが、
芸能プロダクションと契約するまでは業務として行っていたと認識されるものの、
プロダクションとの契約により社会的地位も含め事業としての体裁をととのえたことから、
契約時期を事業所得開始の日と解釈することは不可能ではないと考えられます。
そうなると9月1日の2か月後の10月末が、所得税の青色申告の届出期限と考えることも可能かもしれません。
この点、消費税法では、考え方が違いますので、
消費税の届出においては十分注意して下さい。
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